帰省5日目。
本日の札幌は肌寒く、雨降りです。
つい先日31度まで気温が上がったとは思えない天気です。
おまけに札幌、どうやらイネ科の花粉の時期らしく、くしゃみと鼻水が止まらない始末…(おかしいなあ、花粉症のくする飲んでいるのに…)
お笑い芸人矢部太郎(最近若干受難中)の「大家さんと僕」の続編、「大家さんと僕 これから」を購入しました。
*上が「大家さんと僕」、下が「大家さんと僕 これから」です*
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昨年の8月に大家さんがお亡くなりになったのはニュースになっていて知っていたので、「これから」の方では、どこまで書かれているのかな、などと思いながら本を開きました。
*大家さんが亡くなった時のニュースはこちらです*
https://www.asahi.com/articles/ASL8S3FPTL8SUCLV002.html
あまり書いてしまうと、ネタバレになってしまうのであれなのですが…
お上品でウイットに富んだ言葉を口にする大家さんの「なかなかお方ぶり」は、前作そのままでした。
が、「これから」には、大家さんが、入院されたり手術をされたり、ご自宅に帰れなくなったりと、老いて弱っていくさまが、かなりしっかり描かれていました。
読んでいて、ちょっと辛かったし、悲しかったし、現実を突きつけられた感じがしました。
本の冒頭には、この話はフィクションだと書かれていますが、大家さんが死に向かっていくさまはおそらく作り事ではなく、ほぼほぼそのままなのだろうと思わせるリアリティが感じられます(なお、直接的に死のシーンは描かれていません)。
「人が老いる姿」「死にゆく姿」というものが、かなり生生しく感じられました。
矢部さんの「ウマ下手絵」である程度中和されていながらも、非常にリアルなので、これが文字だけのエッセイだったり、劇画的な絵だったりすれば、かなりきちゃう感じになるかもしれません(大げさに感じられて、逆にあまり響かないかなとも思います)。
私は、母方の祖父母が二人とも98まで生きており、父方の祖父母も90過ぎまで生きたので、何となく勝手に自分も長生きだと思っている節があります。
ですが、今年50歳を迎えて、「確実に自分の人生はもう半分ない」「元気で動き回れる時間もあと20年くらいあればいい方かも」などと、老後に対する焦燥感というか寂しさみたいなものが募ってくるようになりました。
更年期で体調も変化しています。
そのせいもあって、「これから」の大家さんの姿を見て、大きく響くものがあったようにも思います。
死は誰にも平等に訪れるし、老いていくことから逃げることはできません。
それを思い知らされた気がしました。
前作の「大家さんと僕」は手塚治虫賞を受賞した名作でした。
「大家さんと僕 これから」は、前作とは違う意味で、また名作と思います。
「これから」の方も、多くの方に読んでほしいと思います。
子どもにも、私のように、老いの入り口に立ちかけている人々にも。
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